キッチン

わたしがこの世でいちばん好きな場所は台所だとおもう。

確か、こんな出だしで始まったと記憶しています。
わたしが大好きな小説よしもとばななさんの「キッチン」です。

このときはまだ”吉本ばなな”表記でした。
有名な小説ですし、また、彼女を一躍有名にした作品でもあります。

もう何度も読んでいて、セリフなんかも覚えてしまっているほどです。

よく表現が稚拙だとか、今までの小説でありえない表現をしている
「先日、なんと祖母が死んでしまった。びっくりした。 」
「しかし!そうしてばかりもいられなかった。現実はすごい。」
「引っ越しは手間だ。パワーだ」
とか色々言われたりもしていましたが。
そういう意味でもとにかく話題だったわけです。

読んだきっかけは・・・
本と本屋さんが好きだったので
話題になっていたのは知っていたのですが

中学2年か3年のときに、後輩が
 「先輩、キッチンって読みましたか?」

   「ううん」

    「めっちゃ暗い話ですよ」

というやりとりがあり、
特に「暗い話」が好きなわけではないのですが読みました。
これが「キッチン」との出会いであり
よしもとばななさんとの出会い(出会ってないけど)でした。

文庫版の「キッチン」を買ったのですが
他にキッチンの続編「満月」そして作者が大学の時に書いた
という処女作「ムーンライト・シャドウ」の3作品が収録されていました。

この「ムーンライト・シャドウ」がまた、すごくよくて。
大好きです。

読み始めて、すぐにこの作品の中に引き込まれました。
この「引き込まれ感」が半端ではなく
私には、すぐに登場人物の顔が浮かんできました。
(だから映画のキャスティングには到底、納得がいかない)

書かれているのは
「喪失と再生」というテーマだと、解説本などにもある。

そうなんだろう。

ただ、私にはテーマは関係ない。

この小説を読み終わると無性にカツ丼が食べたくなる。
そしてバスに乗ると空に飛行船を探してしまう。
時間のある朝、ふとジューサーで作った
グレープフルーツジュースを飲みたくなる。
夜中に家でラーメンを作ると菊池桃子の聞いたこともない歌を思い出す。
インテリアショップでソファーを探す時ふと、
行ったこともない田辺家の部屋が、ソファーが浮かんでくる。

というように、すっかりと体に染みこんでいるのだ。
まあ主に食べ物が。ですが。

気づけば、最初に「キッチン」を読んでからずいぶんと時が流れて
いつの間にか、主人公である桜井みかげや、田辺雄一の
年齢をすっかり追い越してしまったが
未だに読んでも子供っぽいとか思わないなぁ。
自分が成長していないんだろうけど。

とにかくこの小説は、私の心の中にいつも「いる」気がする。

読み過ぎて自分の一部になってしまったのかも。

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